12月 27

『店に出入りの客は 唄うことが何より好きな面々と ママの人徳ある人柄を慕い 今日もドアを開ける』

瓦解(がかい)とは、屋根瓦の一部が落ちればその余勢で、他の多くの瓦も一斉に崩れ落ちることで、 岐路(きろ)とは、分かれ目である。

 嗜む程度の酒しか口にしない。
「赤坂」の夜、カラオケスナックで初めて対面した、十歳上の男性客と口角泡を飛ばした内容だ。 お互い下戸のウーロン茶談義で、いきなり質問を受けた。―――『日本の原発をどう思うか!?』・・・まさかこの場で原発の話しをするとは思わなかったが、 折り目卑しき風天上がりの主張を愧じることなく向けた。

―――『戦後65年、世の中は人の傲慢さと自然への謙虚さを忘れた結果、物欲だけ生み出す事に走り突き進み過ぎた。 原爆を製造した「国の志」は、一瞬にして人と町を破壊する為の兵器を持ち、世界への鼓舞と実行により「必要悪」を義とされた。 その後、いくら平和利用を高らかに唱え開発推進しても、原爆製造従事者国民にさえ一斉を公表せず、秘密裏に行なう「最初の一歩を隠し、踏み出した国の志」では、人間が核を制御できる訳がない』といった事を述べた。
 その後、相手の顔と口調が険しくなりだし、不本意ながら口角から泡が掛り始めた。
―――『あんたは、今の日本の現状を判っとらん!電気がなければ生活できんのだゾ』その言葉に雷同することなく、リクエスト曲が掛り唄い出したのは「甲斐バンドの♪ダイナマイトが150トン」で、「赤坂」ママの人柄に惚れて集まる老若男女満席の客は、ヤンヤヤンヤの盛り上がりとなり泡が消えた。

 ここからは小生の主観である。
世界で唯一の被爆国である日本。 その受けた痛みは、我々国民しか判らないはずだ。 二度も痛い思いをして、「最初の一歩を隠し、踏み出した国の志」に傾倒した結果、自然に対しての謙虚さを無視した原発で、今度は自ら三度目の被爆を受けた。 國の歴史の教訓を本気で受け止めない輩が、想定外だったと聞いた風なことをぬかしやがる。 スピードをより速く、さらにはより遠くまでを追い求める文明の発達に酔いしれる時、人は単純な自然の摂理を忘れてしまう。 二度あった事は三度目もあった・・・戦後65年、國の開発政策は明らかに間違っていた「國の瓦解」がないことを祈る。

(了)