取材を終え 原稿を認めようと
浦安駅前にある ファーストフード店に入った時
目撃した出来事である。
駅の改札は 帰宅帰りの客が大勢いて 店の外にも行列を
作り並んでいた。 店のスタッフは 多忙な中 笑顔の接客
応対を繰り返し 手際よく商品をさばいていた。
店内に入り ようやく自分の番が巡ってきて オーダーを口に
した時 隣にいた年配の男性が 突然若い女性スタッフに対し
罵声を浴びせた。
○カウンター
男 「(顔を真っ赤にして)バカヤロー! 何聞いて
ンだよ 違うじゃねえか。 この野郎!!」
スタッフ 「(茫然として)」
男 「(人差し指を押し付け))俺が 注文したものを
出せよ!」
スタッフ 「(うつむいて)これが お客様のご注文された
ものですが・・・」
男 「どこがだよお 違うって言ってンだろ!
バカヤロー。 人の云うことが聞けねえのかあ
この野郎」
スタッフ 「(か細く)申し訳ありません」
男 「責任者出せ! お前じゃ話にならン」
○店内
にいる客・店員の動きがとまる。
奥から 若い女性スタッフが 姿を現わす。
スタッフ 「(気丈に)申し訳ありません。 何か手違いが
あったと思いますので お作りし直します」
男 「(睨みつけ)なンだと 思いますので!?
俺が違うって言ってンだから その通りの物
出せばいいンだよ」
スタッフ 「(伝票をみて)ご注文の品は こちらでよろし
いでしょうか」
男 「ばかにすンじゃねえぞ コノヤロー!
さっさとやれよ 女のくせに バカヤロー!!」
スタッフ 「(目に涙をためて)申し訳ありません。 少々
お待ち下さい」
男 「いつまで待たせンだよ 早くしろよ! バカ
ヤロー」
○店内
静まり返り 外に並ぶ客も 中の様子を覗いて
いる。
スタッフ 「(笑顔で)大変お待たせ致しました」
男 「ふざけんじゃねえぞ この野郎!]
新たに作り直された商品 その紙袋を手渡され
た男が カウンターを離れようとした瞬間
男の気をそぐために わざと足元を指差した。
「あれっ!?」
男 「(驚き 足元を見て)何だよ」
その時 男の首に下げていた 社員証プレートが
胸ポケットから落ちて 一瞬顔を覗かせた。
男はそのまま 店を出ていった。
○店内
は件通りの 様子を取り戻し。
○カウンター
「よく辛抱したね」
スタッフ 「(目から大粒の涙)はい」
「首から下げていたの わかった!?」
スタッフ 「(精一杯の笑顔で)はい わかりました」
「赤坂にある テレビ局の社員証だったよね」
スタッフ 「(毅然と)はい 間違いなく そうでした」
怒鳴り散らした男の 身辺調査をした訳ではない。
あれ程の怒りは あの男にとっては 日常のことなのか
どういう理由で 暴言を発っしたのか 確認した訳でもない。
小生は この現場に 居合わせただけだった。
(了)

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