11月 10

 乃木坂にいた 叔母が 他界した。

遊びに行く度 いつも笑顔で迎えてくれて 包み込むような優しさは 忘れられない。

『よい ご本があるのよ』と電話をくれた数日後には 届けられ 二人で本の話に費やした時間は 実に愉しかった。

 札幌 仙台 東京 広島 福岡と全国を巡り 献身的な歩みは 感謝の心と 裏表のない 生き方だった。
若い時 仕事中に 手の親指の先端を 誤って切断する不運に 見舞われた。
『この世の すべてを 受け入れてごらんなさい。 自分がみえてくるわよ』と語った言葉の意味が 心に沁みる。

 あの日も いつものように 会いに行った。
『久し振りだから 讃美歌を聴きながら 話したい』と わがままを云い 部屋で二人きり CDをかけながら 2時間程話して別れた。

それから 1週間も経たない日 訃報が届いた。
天に召された顔は 生きているように 穏やかな表情 シスターだ。

乃木坂 叔母のいる坂道。

乃木坂 叔母のいる坂道。