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いじめ・虐待防止フォーラム一周年記念シンポジウムのご報告

義家弘介氏(右)と岡田ユキ

2008年平成20年11月24日(月) 新宿区角筈区民ホールで『いじめ・虐待防止フォーラム一周年記念シンポジウム』が開催された。
 2007年平成19年10月30日に第一回を行い、フォーラムテーマ「虐待されている子どもの心の中を知ってほしい」という問題提起を皮切りに、第二回「虐待している親のSOSに気づいてほしい」。第三回「苦しみを乗り越えて立ち直るには」。第四回「本当の愛と嘘の愛、言葉と態度の違いから」。第五回「あなたの身近にひそむいじめの罠」と続いた。現代社会が抱える負の連鎖を断ち切ろうと、このフォーラムに集った有識者は多岐に渡る。
 
 一周年記念シンポジウムの幕開けは、このフォーラムを主催した児童虐待防止の市民活動団体サークル・ダルメシアンの岡田ユキによる代表挨拶と、会の運営をサポートする事務局長垣内裕志による謝辞が述べられスタートした。
 
 この日は、新宿区の中山弘子区長も駆け付け、冒頭これまで続けてきたフォーラムに対する労いの言葉と『今回のシンポジウムを一つの契機として、世の中に蔓延しているいじめ虐待が少しでもなくなるように努めて頂きたい。新宿区としても後押し尽力を惜しまない』とエールを贈った。  
 今回は、フォーラム一周年を記念し、ゲストにヤンキー先生こと義家弘介氏を招き、基調講演「いじめを語る~現在の教育の現場を考える~」を行った。
 180名を超える会場を埋め尽くした入場者に、演台に立つ義家弘介氏は、この国の根幹に関わる、道徳教育の復権を熱く語り提言。根深い「いじめ虐待」に対し、終始ぶれない軸の箴言。さらには自らがラジオパーソナリティとして、毎週日曜日の深夜0時から生放送している番組、AM1242ニッポン放送の【義家弘介の夢は逃げていかない】で、氏に対してリスナーから届く、電話相談の切実な若者の声を代弁し、今現実に身近で起きている、声にならない声を力説し訴えた。今も教育の現場で教鞭をとる氏だからこそ、人になる「惻隠(そくいん)の情」を懇願し『いじめは究極の非行行為であり、人に非ざる道。外道はしても非道だけはするな』と説き『いじめに対し見てみぬふりをしているのは、学校全体の問題でもある。いじめは昔からあったと云う無責任な大人たちには、人として今こそ、実践的体験道徳教育の再生が必要である』と力強く説諭した。

ディスカッションに臨むパネラーの皆様

 舞台の幕は変わり、義家弘介氏を交えて五人のパネラーが登場し、各氏がこれまで歩んできた足跡をエピソードと共に語り、シンポジウムは始まった。
 法政大学の現代福祉学部教授であり、東京都立川市に在る、児童養護施設「至誠学園」理事長高橋利一氏は静かに語る『学園で寝食を共に生活する子ども達の大多数は、自分の境遇に引け目負い目を感じ生きている。様々な境遇理由でこの施設へ来た子ども達、ひとつ屋根の下で年端もいかぬ他人同士が、寄り添いお互いを懸命に支え合いながら生き、生活している。ここにいる小さな命は、人としての愛を、与えられずに育ってきたという現実を感じてほしい。子どもは時に、残酷なことを云う。ここから通う学校生活でも、学び遊ぶ同じ仲間としての意識付けを、持たせられるような周囲の配慮を願う。さらに地域社会では、これから広い世界へ羽ばたき巣立つ、養護施設の鄙鳥達を、自分の子どもと何ら変わらないという意識を持って頂き、育む目線で接し、声かけを心掛けて欲しい』。
 
 新宿区の更生保護女性会代表坂本悠紀子氏が憂えている『全国的に広がる薬物大麻問題。30年前はシンナー吸引が蔓延し、今は軽い気持ちの興味本位が大麻汚染で、若年層に及んでいる。薬物の怖さは{一度だけなら}という甘い誘惑が、それからの人生を自ら闇の中へと迷い込ませてしまう。手を出すと、身も心も亡ぼすのだという警鐘はいくら乱打しても足りることはない』と声高に訴える。
 
 医療現場の最先端で活躍する三島修一氏は、千葉県市川市の「国立国際医療センター国府台病院第1内科医長」として家庭家族関係の原点回帰が、病改善の一助に成ると提唱する『健康を取り戻す手立ては、毎日の生活リズムを改善することは勿論。日常、身近な家族関係の中にこそ、病を癒す温かな言葉の特効薬がある。これは、当たり前にある存在でお互い気付かないが、話しを聞くこと、一緒に散歩をしてみること、何気ない日常での思いやりのある、優しい言葉遣いの一言一声掛けが、負という病を好転させていく原動力となることを忘れないでほしい。医療へ携わる一人の医師として、痛感する健康への原点回帰の道は、傾聴する(話しを聞く)という当たり前の行為が、自然と導いてくれる』

 前回のフォーラムで、自らの体験を寸劇主演した前山亜杜武氏はNPO法人あきらめない理事長
『劇的に変わっている社会構造において、道を外れ生きてきた人の再生の道は、険しいものであろうが決して諦めることがあってはならない。現代日本社会において、地道に社会貢献しているこのフォーラム団体も、運営していく上では財政資金は必要不可欠。これまで経済最優先にしてきた企業にも、社会福祉への視野を拡げてもらう意味で、社会貢献している団体等へ、寄付を募るシステム構築していきたい』と力強い弁を頂いた。

 フォーラムを主催した代表の岡田ユキ氏は『これまで「いじめ・虐待防止」に賛同応援して下さっている多くの方々の支えにより、今回を迎えることができ、続けることの大切さを身をもって体験した。これからもフォーラムを通じ繋がったご縁を大きな輪としていきたい』と語った。
 
 義家弘介氏は『シンポジウムに参加して頂いた、各分野のプロの智恵、知識、体験、実践を集約連携すれば、間違いなく目標とするものは達成できると確信した』と締め括りに感想を述べた。
 
 シンポジウム開催時降り出した雨は、終了と同時により一層烈しさを増し、帰宅の足を煩わせたが、この雨は全ての人の心を洗い流す、浄化の雨であると願いたい。

---このフォーラムを見続け、共に参加させて頂いている小生も、当初この団体に対する偏見差別を、目の当たりにした経験がある。その時の悔しい思いは、未だ忘れることはない。その時学んだ教訓は、幕末の志士勝海舟の言霊(ことだま)だ【世の中はただ一言を慎めよ、毒も薬も一口にあり】である。

12月 16 2008 | 活動報告 | No Comments »