第四回「いじめ・虐待防止フォーラム」のご報告

岡田ユキ(サークルダルメシアン代表)

 7月17日(木)新宿区若松地域センター・3Fホールで第四回「いじめ・虐待防止フォーラム」が開催された。
  今回のテーマは『本当の愛と嘘の愛、言葉と態度の違いから』を問題提起として、いじめ虐待防止の糸口を見出だした。
 
 梅雨明けを想起させる、炎天からの陽射しが夏木立に降り注ぎ、今回で四回目を迎えたフォーラム。冒頭を飾ったのは前山亜杜武氏(NPO法人あきらめない理事長)演じる寸劇『トゥルー・ラブ』。脇を固める演者は、近藤幸宏氏率いる劇団NKProjects!。

寸劇『トゥルー・ラブ』の一場面

 前山氏は、家庭の事情により転校を繰り返し、その後道を外れた青春を過ごした。それでも我が子を信じる、母の姿に氏は我を取り戻し、立直っていく過程を表現した。 寸劇とは言え、実体験をもとに迫真の演技の前山氏に、会場は静まり返り深い感動は余韻を残しスタートした。
 
 今回の主題、その問題提起にあたり体験者である岡田ユキ氏から『親から虐待を受けた子どもは、心身共に傷を負っていても、親を慕い愛し続けている。社会規範の中で、満たされない親側の不平不満や、持って行き場のない憎しみや怒りを、自己解消できないまま、一番身近な我が子にそのはけ口が向けられることが、家庭・家族内のいじめ虐待を引き起こしている。このフォーラムから、負の連鎖を自らが断ち切る手立てを学び、感じ取って欲しい』と語った。
 
 今回登場したパネリストの一人、新宿区更正保護女性会代表の坂本悠紀子氏は『道を外れた本人はそこでも、もがき苦しんでいる。周りの人が「情」を与え、愛情をもった声かけが何よりも肝心』と力説。

 教育界からは、法政大学 現代福祉学部教授で東京都立川市にある至誠学園理事長の高橋利一氏も『現代社会において、家庭内で孤立する家族関係が、地域社会のつながりの薄さに影響を与えている。離婚により両親から引き裂かれた子供は、満たされる事のない愛を追い求めている。今年すでに4万件を越えた虐待報告、子供を取り巻く家庭・地域環境の中では「包みこむ優しさで育む愛」を決して忘れてはならない』と切々と語った。
 
 新宿区子ども家庭部家庭課主査 小野川文恵氏が語る自らの体験談は、心にしみいるものだった『私がまだ幼い三歳の誕生日を向かえ日、嬉しくて通りすがりの女性に伝えたら、近くの駄菓子屋でお祝いのお菓子を買って頂いた。その時の優しい時間は、今でも掛け替えのない思い出。地域の中でも手を差し延べる大切さを、今後も応援していきたい』と力強い言葉が出た。
 
 国立医療センター国府台病院内科医長 三島修一医師からは、家庭内における親と子どもの関係悪化を危惧する発言があった。『子どもに何らかの問題が生じた場合、その背景にある子どもの切実な声を、親は聞き取っていない現実がある。常日頃、医師として病名だけで患者を診ないという意識があれば、自ずと目線は患者と同じものになる。その時!、心の奥深く沈んでいる「小さな声」を汲み上げることができる。話しを聞くことは簡単なようで以外と難しく、意識して耳を傾ける傾聴文化を今後も提唱していきたい』と訴えた。

前山亜杜武氏(NPO法人あきらめない理事長)と坂本悠紀子氏(新宿区更生保護女性会代表)

 前回のフォーラム同様、会場からの声も活発に上がった中、不登校児童を受け持つ家庭教師の発言は興味深いものだった『親の子どもに対する過度な期待が、目に見えない圧力として大きく子どもにのしかかる。親と子のよいコミュニケーションとは、共に育て上げるものという意識があれば、お互いの絆は深まる』といった貴重な声も聞けた。

 このフォーラムが、回を重ねる毎に人の絆を深めている事実。つながりの輪は、広がりの数も大切だが、心が揺さぶられるほど感動の深さを感じられることと、人の原点に立ち返る機会を、得られることが出来る素晴らしさが、このフォーラムには確かにある。

      文: ぐそく かずし

◆次回予告

「第五回 いじめ・虐待防止フォーラム」
日時:2008年10月23日(木)14:00~16:45
会場:未定
寸劇出演:高橋利一(至誠学園理事長・法政大学 現代福祉学部教授) ほか

7月 27 2008 11:00 am | 活動報告

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