キナバルへの旅(7)~おっちゃんとの熱き友情!ただいま、日本!~
【五日目:2011年01月03日夜~六日目:2011年01月04日】
3日の22時半頃、MRTを使い、台北松山空港に戻ってきた私。
出口を駅の案内版に従い、第二ターミナル方面に出る…が、あれ?
出たところには巨大な壁が連なり、隣の建物には第一ターミナルと書いてある。
壁に貼られた案内図を見ると、第二ターミナルは壁の向こうのようだ。
工事中のため、今は通れなくなっている。
第一ターミナル内の案内図を見ても、第一から第二へは抜けられず、どうやら、これは…空港の外をぐるっと回るしかないようだ。。
一旦空港から離れ、台北市街を西へ歩く。
外壁に沿って歩こうと思っていたのだが、空港の西側は(パッと見、ちょっと治安の悪そうな)旧市街が延々と取り囲んでおり、第二ターミナルへと進入する道が見つからない。
夜の街を下の地図の①のように進んでいく。
地図だとよく分からないかもしれないが、結構距離あります。これ。
なるべく、明るい大通りを行く。
一時間ほど歩き、ある交差点までやってきた。
そこから先は地下へと潜っていくトンネルとなっており、車以外は入れなかった。
「歩行者は入れません」と、私にも分かるレベルの中国語で書いてある。
仕方なく、空港まで戻ってくると、0時半。
第一ターミナルは0時には閉まるということで、ほとんどの職員も帰ってしまっており、明かりも徐々に消えて行く。
もはや一刻の猶予もない気がした。
今度は市街を反対方面(東方向)へと進む。
だが、こちらから回ると、滑走路を一周しなければならないため、かなり大変だ。
※上記地図②を参照。
こちらは住宅地ではないため、車の往来を除いて、道はかなり静かだった。
松山空港は軍港も兼ねているとのことで、兵士が見張りに立っているゲートもあった。
しかし、この道、えらく長い。
直線だから、そう感じるのかもしれないが。。
一時間ほど歩くが、一向に角が見えてこないため、一周するのは不可能と判断し、再び空港に引き返す。
もはや、タクシーで第二ターミナルを目指すしかないと思った。
だが、職員も完全に帰ってしまったため、空港内は暗く、先ほどまで帰宅する職員待ちで列を作って待機していたタクシーも、今は一台もいない。
では、ここで朝まで待って、第一ターミナルの職員に第二へ案内してもらうか…。
空港が開くのは5時半。今は2時。
まだ時間がある。
それまで、外で待つしかないか。
それにしても、寒い。。
とりあえず、バス乗り場の待ち合い椅子に腰を下ろす。
ここなら背後や横からの寒風は防げるが、椅子が石なので、正直冷える。。
だが、タクシーが来たときに捕まえやすいのでは?
Uターンをするため、タクシーが数台、ロータリーに入ってきた。
が、どれも他のレーンを行ってしまう。。
暫く、タクシーも途絶えた。。。
が、いつかは来るはず…。
待つこと30分。
遂に来た!
私が立ち上がると、タクシーはやや過ぎたところで、停まってくれた。
よもや、こんな時間に客などいないと思っていたのだろう。
タクシーのおっちゃんに「Can I use this taxi?」と話し掛ける。
が、どうやら、全く伝わっていない。。
このおっちゃん、英語がからっきしダメだったのだ。f^_^;
とりあえずタクシーに乗せてもらい、第二ターミナル(Terminal 2)へ向かってくれと、何とか伝える。
タクシーは走る。
市街に出て、高速に乗り…どんどん飛ばしていく。
…って、え?いくら何でも、空港から離れ過ぎなんじゃないの!?
どうやら、おっちゃんは台湾のもう一つの空港、台湾桃園国際空港に行こうとしていたようなのだ。
確かに、同じ空港の別のターミナルへ行ってくれなんていう客はほとんどいないだろうが。。
一旦車を停めてもらい、必死に説明するが、おっちゃんは分からないようで、タクシー会社に携帯から電話を掛ける。
やがて、おっちゃんに携帯を渡されると、電話口にはタクシー会社の英語が分かるという女性が出る。
彼女に説明をして欲しいということらしい。
が、彼女も英語がさほど上手ではなかったようで、今度は日本語が分かるという男性に代わった。
「最初から、この人出せよー。。」と思ったが、とりあえず、そのお兄ちゃんに話をする。
すると、彼は「松山空港に第二ターミナルはありません」という。
そんなバカな。。f^_^;
私は「ありますよ。地図に載っているし、空港の案内板にもちゃんと書いてあります。」と、必死に説明。
次にはこれから乗る飛行機の航空会社と便名を教えてくれと聞かれた。
エバー航空のBR2198と伝える。
するとやはり、「松山空港から、そんな便は出ないですね。」と言う。
ありえん!
というか、ここで私のフライトがどうのと問答をしていても、しょうがない。
私は台北松山空港の第二ターミナルに行って欲しいだけなのだ。
私は昨日、空港を出てくる前に荷物一時預かりのカウンターにリュックを預けてきたことを思い出し、電話口の男性にその旨を伝え、何にせよ、松山空港に向かう必要があると訴えた。
彼から運転手のおっちゃんにそれが伝えられると、おっちゃんは来た道を戻り始めた。
今度こそ、松山空港の第二ターミナルに連れて行ってくれるのかと思いきや、タクシーは、私が乗った、まさにその場所に戻ってきてしまった。
「ここは私が乗った場所!行きたいのはあっち!」
工事中の壁の向こうを指し、必死にアピールする私。
すると、ロータリー手前のガソリンスタンド脇の細い道を車で入っていくおっちゃん。
その先は貨物専用ターミナルだ。
当然、スタッフ以外、立ち入り禁止。私がさっき、うろついて確認した。
おっちゃんはそこが第二ターミナルに繋がっていないことに気付き、引き返す。
私は亜熱帯書店で買った市内地図を見せながら、おっちゃんに説明する。
が、その地図にも第二ターミナルへ至るルートまでは記されていないので、そこは自力で探すしかないのだが。。
おっちゃんは「空港の管理ビルの職員に聞けば、分かるんじゃないか」と言う。
この時間じゃ管理ビルの職員さんも帰ってしまってるんじゃないかと思ったが、他に手もないので、お願いする。
ロータリー東側のビルの前にタクシーを停め、ドアをガラス戸をノックするおっちゃん。
だが、返事がない。
ガラス戸は一ヶ所だけロックされておらず、中に入れた。
おっちゃんと一緒に、薄暗いビルの中に入っていく私。
だが、さすがの私も、ここまでくると、何か変だと思い始めていた。
これだけ必死にルートを探しても、あの大きな第二ターミナルに行けないというのは、ひょっとしたら、根本的かつ致命的な勘違いをしているんじゃなかろうか。
ふと思い立ち、財布の中のレシートを漁ってみた。
そこには、昨日、空港内で両替した際に発行された明細書があり、住所が「台湾桃園国際空港内」と書かれていたのだ!
…という訳で、これはオチになるが、コタキナバルへの往路や昨日、市街に繰り出すまで利用していたあの空港は、実は台北松山空港ではなく、台北にあるもう一つの空港、台湾桃園国際空港だったのだ!
そうこうしているうちに、管理ビルの職員さんが出てきたが、 急ぎ、おっちゃんにその両替の明細書を見せ、私は「Sorry!」とバツが悪そうに言った。
おっちゃんも最初は「?」という感じだったが、私の勘違いを理解すると、笑った。
正直、これで救われた。
散々引っ張り回して、かなりの距離を行ったり来たり、挙句の果ては、こんなところまで一緒に巡らせてしまったので。。
かくして、私とおっちゃんはタクシーに戻り、一路、台湾桃園国際空港を目指した。
途中、おっちゃんは今回の顛末を思い出し、笑ったりしていたが、ホント心の広い人で良かった。f^_^;
台湾桃園国際空港までは遠かった。
どおりで、昨日、空港から台北海洋生活館までが結構掛かった訳だ。。
腑に落ちなかったことが、ようやくこれで解決した。
点と点が繋がり、線になった感じだ。
おっちゃんに申し訳ないので、起きていようと思ったが、あまりにも疲れていたのか、途中、少し寝てしまった。
やがて、台湾桃園国際空港の第二ターミナルに到着!
こちらは24時間開いているので、照明が煌々と明るい。
料金は1,800台湾ドルと言われたが、私は1,300台湾ドルしか持っていなかった。
カードは使えるかと聞いたが、無理だそうだ。
あとは日本円しか持っていない。
すると、おっちゃんは日本円でもOKだと言ってくれた。
私は財布の奥に忍ばせてあった一万円札を取り出す。
「それは台湾ドルに直すといくらか?」と聞かれた。
約2,000台湾ドルだと答えると(後々確認してみたら、実際には3,300台湾ドルくらいだった)、おっちゃんはお釣りを出そうとする。
私はお釣りはいらないと言った。
何時間も引っ張り回してしまったおっちゃんに申し訳ないという気持ちと、ありがとうという気持ちからだ。
おっちゃんに連れてきてもらわなければ、(あのまま朝まで松山空港の前で待っていたら)、今日のエバー航空で日本に帰れなかったかもしれないのだ。
おっちゃんは「謝々!」と言い、笑顔で「バイバイ」と見送ってくれた。
私も「バイバイ」と笑顔で返す。
そこには、共に困難(つっても、実際にはただの私の勘違いだが。。)を乗り越えた、一種の友情に近いものが芽生えていたのではないかと、私は勝手に思ってる。(笑)
出発直前になって、こんなトラブルに遭遇するとは思わなかったが、そんな中で、現地の人の温かみをようやく知ることが出来た。
行きのドライなタクシードライバーや私を泥棒扱いした成宮君や、そんな人ばっかじゃない。
人はそれぞれなんだ。
日本人だって、中国人だって、優しい人もいれば、酷い人もいる。
そう思えた。
しかし、おっちゃんは、一万円が約2,000台湾ドル相当であるということも全く疑わず、本当にいい人だ。
どうか、この先、悪い人に騙されませんように。f^_^;
そして、私は空港でわずかに仮眠を取り、搭乗手続きに入る。
台北花博をエバー航空は全面的にバックアップしているということで、こんな模型もありましたよ。↓
帰りのフライトは約2時間。
機内で邦画の「ハナミズキ」を観たが、あれって何で、結局最後まで観きれないような尺の映画を置いてるんだろうねー。(泣笑)
最後だけ観れず、気になったので、また今度、DVDでレンタルして、観直そう。
成田空港に着き、最初に食べたのは、らあめん花月の「嵐げんこつらあめん」。
やっぱ日本のラーメンはうめえ!(笑)
このあと、京成電鉄の成田アクセス特急で帰るが、疲れてしまったのか、30分ほど寝過ごす。
そして、財布がなくなっていることに気付く。
上野駅で車掌さんに訴え、遺失物届を出そうとするも、何故か登山リュックから出てきて、平謝りというオチまで付きましたが、、無事に帰ってこれて、良かった。
海外に行くと毎回、何かしらのトラブルに巻き込まれる私。例に漏れず、今回も色々と大変な旅だったけど、絶景!体験!出会い!マスターカード的に言うと、「プライスレス」な経験がいっぱい出来た、素晴らしい旅でした。
今年中には次なる世界遺産に向け、出発したいな。
限りある人生の中で、出来るだけ多くのものを見て、聞いて、触れて、感じて、後悔のないように命を燃やしつくすためにも。
ここまで長々と、こんな取りとめもない旅日記を読んでくださった方には、本当に感謝です!
どうぞ、次の旅日記をお楽しみに!
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